「不妊治療」を受けているカップルの数、46万人を超える!
この数字を見て、あなたは多いと思ったでしょうか?
この数は、平成14年度の厚生労働省の資料にある数字で、現在ではもっと増加しています。
このように、子どもが欲しいと思っても、なかなか恵まれないカップルは多くいます。
不妊症と一言で言っても、その原因は体質だったり、パートナーとの相性だったり、生活習慣だったりと人によって色々あります。
しかし、妊活中は、不妊治療自体がストレスとなり、かえって妊娠しにくくしてしまうこともあります。

なので「不妊治療が必要かな?」と思ったときには、まずは不妊治療について勉強し、夫婦2人で取り組み少しでもストレスを抱えないですむようにしていくことが大切なのです!
目次
不妊症の定義
この定義がつくられた時代にくらべて現代では結婚年齢があがり、高齢になるほど妊娠しにくく、治療効果も少なくなる傾向があるので、妊娠の機会をのがさないよう、1年を過ぎた段階で妊娠しないときには、 不妊検査を受けることが奨められています。

一般に結婚を考える年齢で、避妊をせずに性交渉を行ったときには、だいたい結婚して
半年で7割、
1年で9割、
2年で10割が妊娠するといわれています。
しかし、30代に入ると妊娠できる確率は徐々に減少し、35歳を過ぎるとさらに確率が低くなってしまうのです。
そのため、30代で初めての妊娠を目指す夫婦は、できるだけ早めに不妊検査を受けるほうがよいといわれています。

35歳以上での出産の割合で約2倍、
40歳以上での出産の割合で、約3倍と増加しています。
それには、晩婚化という問題が背景にありますが、子宮内膜症や子宮筋腫など不妊症の原因となる病気の増加も影響をあたえているといわれています。
不妊症の種類
・原発性不妊…妊娠の成立が1度もないものをいいます。
・続発性不妊…過去に妊娠をしたことがあるが、その後妊娠の成立がないものをいいます。
これらの不妊には、男性に原因がある男性不妊と女性に原因がある女性不妊があり、ともにそれらを引きおこす原因はいろいろあるのです。
病気との違い
一般の病気というのは頭が痛いとか何か症状があって医療機関にいき、それによって検査をして、原因がわかって、飲み薬をもらうなどの治療をします。
子宮筋腫などの病気で、生理の量が多く、ひどい生理痛をともなうものなら、医療機関を受診して不妊の原因がわかる場合もあります。しかし!

また、お仕事の都合や、家庭の事情により、今は妊娠できないけれども、数年後に妊娠を考えているというような女性はとくに、自分の卵巣予備能を把握して、人生設計を立てることをおすすめします。
高率良く妊娠するには⁉

セックス
妊娠するには、セックスをすることが大前提です。
そして、その回数が多ければ多いほど、妊娠の確率がアップします。

実際に不妊治療をしているカップルの中には、そもそもセックスの回数が少ない人が多いようなのです。
排卵日だけにすれば良いというものではなくて、セックスの頻度が多い方が妊娠率は高まるといわれています。
これは精神的なものが妊娠に影響を与えているという部分もあるようです。
セックスの回数と妊娠の確率を調べたアメリカの研究があります。
それによると、毎日セックスした場合では1周期あたりの妊娠率は37%、1日おきでは33%でした。
これが週に1回になると、15%におちています。

禁欲期間が短いほど精子の質は高くなる

「セックスの回数を増やすと、精液中の精子の数が減ったり、運動率が悪くなって、妊娠には逆効果では?」
と心配するカップルもいるはず!
以前はそのように考えられていましたが、現在では、男性の禁欲期間は短いほど精子の質が高まり、妊娠の確率 も高くなるとわかっています。

精子濃度が低いグループと正常なグループの2つに分けてくらべてみると、次のような結果が出ました!
• 精子濃度が低いグループでは、禁欲期間1日の場合にもっとも精子運動率が高くなり、それ以降は下がっていく
• 精子濃度が低いグループでは、禁欲期間0~2日の場合に、正常な精子の数がもっとも多くなる
• 精子濃度が正常なグループでは、禁欲期間10日目以降から精子の運動率が下がり、奇形率が上がっていく
精子の質と禁欲期間の関係については、連日射精したほうが精子の運動率が高まるという別の研究もたくさんあります。
精子は溜めたほうがいいというのは昔の話。
今では、妊娠したいのなら射精回数を増やすべきという常識に変わっています。
排卵日前に3日間ほど禁欲して、万全の精子で排卵日を狙う!という方法も間違っていたわけです。
また、人工授精の妊娠率も、禁欲期間が2日以下の場合が、3日から5日や5日以上の場合にくらべて高かったとの研究報告もあります。
排卵日の2日前が最も妊娠率が高くなる

もっとも妊娠しやすいのは排卵日ではありません。
女性が妊娠の可能性があるのは、1周期のうちに6日間ほどあります。
その6日間の中でも、排卵の4日前から妊娠の可能性は高くなるのですが、排卵日の2日前から排卵日前日がもっとも 妊娠しやすくなり、排卵日当日にはすでに妊娠率は低下してしまうのです。
周期中に1回セックスをした場合、排卵日の1日前がもっとも妊娠率が高くなっています。
また、周期中に複数回セックスした場合には、排卵日の2日前が最も妊娠率が高くなっていて、いずれも排卵日には妊娠率が低下しているのです。
排卵時期をねらってセックスをする「タイミング法」に試してみようという人は、こうしたことを正しく理解
して目安にしてみて下さい。
ライフスタイル
良い卵子と良い精子があって初めて良い受精卵(胚)ができます。
卵子も精子も良くすることはできませんが、悪くしないように気をつけることはできます。
そこで、妊娠に向けて自分自身でできること(悪くしないこと)としてライフスタイルの改善を紹介します。

肥満度を調べるには、BMIという指標を使います。
「BMI=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m)」
BMI | 肥満度 |
18.5未満 | 低体重 |
18.5以上~25未満 | 適正 |
25以上~30未満 | 肥満度1 |
30以上~35未満 | 肥満度2 |
35以上~40未満 | 肥満度3 |
40以上 | 肥満度3 |
BMIが男女とも「22」のときに最も病気にかかりにくくなることから、BMIが22となる体重を標準体重としています。
女性の場合では肥満によって、男性ホルモン増加や無排卵の原因となります。
男性では、肥満による精巣温度上昇が精子形成低下に関係あるとともに、女性ホルモン増加も関係するのではないかと考えられています。
規則正しい排卵周期がある女性で、BMIが25以上の人と、正常体重の人をくらべると正常体重の人のほうが、体外受精の成功率は0.88倍高くなりました。
また、夫婦ともにBMIが25以上の場合がもっとも体外受精での成功率が低いという結果がでました。
しかし、規則正しい排卵がある女性の体外受精の場合には女性のBMI増加により成功率が低下しますが、顕微受精、(けんびじゅせい)の場合排卵がない女性の場合、男性の場合には、BMIの影響が大きくあらわれにくいという結果もでたのです。
BMIの影響が大きく現れない理由には、男性の場合、BMI増加に伴う精子の状態の悪化は、顕微授精(けんびじゅせい)そのものの方法によりカバーされるからと考えられます。
一方、排卵がない女性の場合にBMIの影響が大きくあらわれない理由は、排卵がない女性はBMIが高い人と低い人の両方いるということが考えられます。
しかし、排卵がない女性と男性の人数が少ないため、もっと大規模な検討が必要ともいわれています。
また、やせ過ぎの女性は、月経不順や無排卵の危険があります。

脳の司令塔が生命維持のために働き、生殖にかかわるホルモンの指令が後回しになってしまいます!
そのようになると、無排卵や月経不順をおこしてしまうのです。
また、妊娠したら胎児に十分な栄養がいきわたらないというリスクもあり、低栄養で生まれた子どもが生活習慣病になりやすいことは、最近話題になっています。

タバコを吸う人は、吸わない人にくらべて不妊症になるリスクが高くなりますし、妊娠するまでに長い期間がかかり、流産や子宮外妊娠のリスクも高くなります。
妊娠した後の喫煙は、低出生体重児や早産を招きやすいことがわかっています。
本人が喫煙していなくても、タバコを吸う家族がいる家庭では、乳幼児突然死症候群の発生率が高まるとされています。
一方、受動喫煙も妊娠する力を低下させ、体外受精の治療成績を低下させるとの報告があります。


アルコールについては、女性の妊娠する力への影響は、はっきりしていません。
適量のワインは妊娠しやすくなるとの報告もありますが、だからといって無理に飲む必要もありません。
アルコールと妊娠についていくつかの調査がされていますので紹介します。
・7393名のストックホルムの女性のアルコール消費量と不妊について調査した結果、1日2杯(単位)、以上飲むと1日1杯以下の人とくらべ妊娠率は0.64倍になりました。
・29844名のデンマークの妊娠女性の妊娠までの期間は、赤ワインを飲む人の方がアルコールを全く飲まない人より短くなっていました。
・1769名のイタリアの女性では、アルコール消費の有無で妊娠率に違いはありませんでした。
妊娠中のアルコールはもちろん一切禁止です。
胎児の発生に安全というアルコールレベルはありません(ゼロにするしかありません)。
【アルコールの目安】
アルコールの摂取量が多くなるほど妊娠率が低下します!
また、1日のアルコールの摂取の適量は20gで、週に2日は休肝日をといわれていますので、1週間では
20g x (7ー2) = 100gとなります。アルコール20gを1単位と考えています。
アルコール量(g)=アルコール度数 x 飲酒量(mL)x 0.8ですので、1単位の目安は、、、
アルコール度数5%のビール 500mL(1缶)
アルコール度数5%の缶酎ハイ 500mL(1缶)
アルコール度数12%のワイン 208mL(1/4本)
アルコール度数14%の日本酒 178mL(1合)
アルコール度数20%の焼酎 125mL
アルコール度数40%のウイスキー 62.5mL(ダブル1杯)
となります。

カフェインの過剰な摂取は、妊娠する力を低下させ、流産しやすくさせるとの意見があります。
たとえば、1日に5杯以上のコーヒー、もしくは、カフェイン500mg以上を飲むと不妊症リスクを45%高め、妊娠中に1日に200〜300mgのカフェインを摂ると流産しやすくなるとの報告があります(奇形率は増加しません)。
カフェイン入りの飲料は、1日にせいぜい1〜2杯程度にとどめるほうが良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか⁉
「そんなの知ってるよ~!」というものもあれば、「えっ⁉」というものもあったのではないでしょうか?
不妊治療というのは、労力もお金もかかるものです!
しかも、ストレスも増大!!
でも、「赤ちゃんが欲しい!」と思いみんな頑張るのですが、少しでも知識があるのとないのとでは、大違いなのです。
「気持ちに余裕をもって妊活!」というのは、なかなか難しくはありますが、カップルで「不妊」というものを勉強することによって、だんな様の理解も優しさも支えになるのではないでしょうか?
もちろん、だんな様に問題があってというケースもあり、反対に奥さまがだんな様に優しさを!という場合だってあります。
お互いに支えあっての「妊活」にするために、カップルで「不妊」というものについて勉強して頂けたらと思います。