インフルエンザが流行り出す前に、予防接種に行かれる人も多いのではないでしょうか。
    普通なら発症しても1週間程度で回復するインフルエンザですが、子供はまれに脳症を起こし、最悪の場合、亡くなってしまったり、後遺症が出たりするケースだってあります。
     
    インフルエンザ脳症は、6歳以下のお子さんに発症することが一般的には多いと言われていますが、最近ではインフルエンザ脳症が大人にも発症していることが多く報告されています💦

     
    このインフルエンザ脳症のやっかいな所は、インフルエンザを発症して1〜4日で神経症状があらわれるということ。
     
    もしも、脳症が疑われる症状があったときは速やかに病院を受診して、必要な治療を開始しなければなりません。
     
    今回は、その怖いインフルエンザ脳症について見ていきたいと思います。

    インフルエンザ脳症とは…

     
     
    インフルエンザ脳症は、インフルエンザウイルスに感染することが引き金となって、脳が障害を受ける病気です。
     
    急速に意識障害などの神経症状が進行して、脳に後遺症が残ったり、最悪の場合、亡くなってしまうという事もあります。
     

    インフルエンザが重症化してしまわないように予防接種を受けておくことが大切です。

    インフルエンザ脳症になぜなるの?

    まずは、インフルエンザの感染が引き金です。

     
    その後、体内ではウイルスに対抗してがんばろうとするのですが、免疫がオーバーワークしてしまい脳の組織を破壊してしまうのです。

    好発年齢は?

    2009年に流行した新型インフルエンザでは、5歳~9歳の発症が多かったのですが、一般的には
    1歳をピークに5歳以下の乳幼児にみられます。

    インフルエンザ脳症の分類

     

    「急性脳症」と「亜急性脳症」を紹介しますね。

    急性のインフルエンザ脳症

     
    びまん性(広がっていて患部を限定できない)脳浮腫、多臓器障害、血液障害をともないやすい脳症です。

     
    この脳症は、3つのタイプがあります。

     

    急性壊死性脳症
    脳のいろいろな所に浮腫性壊死(むくんで機能していない状態)が左右にほぼ対称性におこるタイプです。

     
    HSE症候群
    ショックDICをともない、進行の急激なタイプです。
     
    ※ショックとは…血圧の低下などがおこり、生命に危険がある状態です。
     
    ※DICとは…播種(はしゅ)性血管内凝固症候群ともいい、過剰な血液凝固反応(血液が固まる反応)がおこって、全身のこまかな血管内で微小血栓(ちいさな血栓)が多発する状態です。
     
    高熱、高ナトリウム血症となることが多く、多臓器不全になりやすく、予後不良です。
     
    ・その他
    上記以外のタイプもまれにあります。

    亜急性のインフルエンザ脳症

     
    亜急性とは、急性と慢性の中間で、発症から1カ月~3か月程度の経過した時期をさします。

    限局性脳浮腫(一部の脳のむくみ)や大脳皮質の機能障害をともないやすい脳症です。

     

    けいれん重積型
    けいれん発作が長時間(おおむね30分以上)持続する状態。
    または、
    発作後に意識を回復しないうちに次の発作が始まる状態で、死亡率が高く、初期治療が重要とされています
     

    インフルエンザ脳症の症状



    届け出られた主な症状に関して、0~4歳、5~19歳、20~59歳、60歳以上の4つの年齢群に分けて、その報告数と割合をだしたものがありますので、ご紹介します。
     

     
    ・20歳以上の成人例に比べ、0~4歳、5~19歳の報告数が多い
     
    【発熱】‥各年齢で88.9~95.5%と高い割合でみられた
     
    ・【けいれん】‥熱性けいれんを起こしやすい0~4歳で高い割合であった
     
    ・5~19歳、20~59歳では頭痛や嘔吐が比較的多くみられた。
     
    ・20~59歳、60歳以上では小児例と比較して、項部硬直、髄液細胞数の増加のみられる割合が多かった。
     
    ・【届出時に死亡と届け出られていた症例】‥0~4歳では6.9%、5~19歳では4.9%、20~59歳では9.7%、60歳以上では15.2%

     
    成人例は、小児例よりも少ないものの、症状ごとについては、小児例との差がみられ、重症度においては決して軽く見ることはできないと考えられます。

    【症 状】です。

    <検査結果でみられるもの>+<急性脳症の症状>があります

    <検査結果でみられるもの>
    ・AST・ALT上昇(肝臓が障害をうけると上昇)
    ・アンモニア上昇
    ・低血糖
    ・APTT・PT延長(血液凝固の障害に関係)
     

     
    <急性脳症の症状>
    ・嘔吐
    ・意識障害
    ・けいれん
    ・除脳硬直
     
    これらの症状の主なものを、詳しく見てみましょう。

    意識障害

     
    JCS20以上または、JCS10以上が24時間以上続く

    JCS20以上…大声で呼びかけたり強くゆすっても眼を開かない状態です。
    または、
    JCS10以上が24時間以上続く…ふつうの呼びかけで24時間以上眼を開かない状態です。

    けいれん

     
    持続時間が15分以内で、左右対称にけいれんがおこります。

    異常言語

    人を正しく認識できない。…両親がわからなくなったりします。

    食べ物とそれ以外を区別できない。…自分の手をかむなどの行動をとります。

    幻視・幻視的な訴えをする。…動物がみえるなど、みえないものをみえるというようになります。

    インフルエンザ脳症の危険性

     

    「インフルエンザ脳症」は、インフルエンザのもっとも重い合併症で、毎年50~250人の子供に発病しているといわれています。
     
    2000年頃までの死亡率→30%
     
    2000年以降の死亡率→10%

    ガイドラインの普及などにより減少してきてはいますが、約25%が後遺症を残してしまいます💦

    インフルエンザ脳症の診断方法は?

    インフルエンザ脳症の診断を行うには、当然のことではありますが、まずインフルエンザにかかっているかを調べる必要があります。
     
    この検査は、一度はしたことのある人が多いのではないかと思うのですが、綿棒で鼻の粘膜を採取して調べます。
     
    そのように検査をして、インフルエンザにかかっていると診断されて、意識障害が出ている場合は、インフルエンザ脳症を疑います。
     
    その場合、頭部の画像検査(CT・MRI)や脳波検査をして、インフルエンザ脳症かどうかを判断していきます。

    インフルエンザ脳症の治療法は?

     
    「インフルエンザ脳症」と診断された場合には、どのような治療をするのかを見ていきましょう。
     
    ・支持療法

     
    心肺機能の安定化と気道の確保をして、体温・呼吸数・血圧などの観察をしていきます。
      
    また、けいれんを防ぐために、抗けいれん薬を使用し、解熱鎮痛剤を使用した体温管理も行っていきます。

     
    ・特異的治療
     
    インフルエンザ脳症の原因の免疫異常を抑えるための治療です。

     
    具体的には、ステロイドを大量投与する「メチルプレドニゾロン・パルス療法」や、免疫抑制効果のあるガンマグロブリンというたんぱく質を投与する「ガンマグロブリン療法」などがあります。

    インフルエンザ脳症の後遺症は?

    厚生労働省によると、インフルエンザ脳症を発症した場合、約25%の確率で後遺症が現れるとされています
     
    インフルエンザ脳症の後遺症としては、身体障害では四肢麻痺や片麻痺、精神的障害では知的障害やてんかん、高次脳機能障害など、さまざまな症状があります。
     
    こうした後遺症は、リハビリテーションをして、ある程度回復することがありますが、症状によっても違ってくるので、担当医と相談しながら方法を検討する必要があります。

     
    運動麻痺
    視覚・聴覚麻痺
    知能の低下
    てんかん
    嚥下障害…食べ物や水の飲みこみの障害がおこります。

    飲んではいけない薬と予防法

    飲んではいけない薬

    血管から水がもれ出やすくなるため、脳のむくみが進行化し、重症化してしまうのです💦

     
    ※インフルエンザにかかっているときに、アスピリンを含んだ解熱剤を服用すると、インフルエンザ脳症を引き起こしたり、重症化させたりする可能性があります。

     
    解熱剤としては「アセトアミノフェン系」が推奨されます。

    子供が高熱でうなされている姿を見ると、解熱剤で少しでも楽にしてあげたいと思いますよね。
     
    でも、インフルエンザが疑われる場合は自分の判断で市販薬を飲む事は良くありません💦
     
    まずは病院を受診して診断してもらいましょう。

    予防法

     

    家族の健康を守るためにも、インフルエンザにかからない食生活、生活習慣を心がけましょう。
     
    ・日頃から手洗いとうがいを徹底する
    ・インフルエンザが流行している時期には人混みを避ける
    ・外出時はマスクを着用する
    ・インフルエンザワクチンの予防接種を受けておく
     
    これらに気を付けることが、重症なインフルエンザ脳症の予防につながります。
     
    5歳になるまではインフルエンザ脳症の発症率が高いので、インフルエンザワクチンの予防接種ができる生後6ヶ月以降は、できるだけ早めにワクチンを打ってもらうようにしましょう。
     

    ま と め

    2005年に、厚生労働省のインフルエンザ脳症についてのガイドラインが出たおかげで、死亡率は30%から10%以下に低下しました。
     
    しかし、インフルエンザ脳症が大切な子供の命を奪うかもしれない危険な病気であることには違いありません。
     
    また子供だけでなく、あらゆる年齢層におこってもおかしくない病気だということも分かって頂けたのではないでしょうか。
      

    日頃からインフルエンザにかからないように予防を意識して、「もしかしたら、インフルエンザ脳症かも⁉」と思われるときは、すぐに医師に診てもらうことが大切なのです。

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