幼い頃からを思い返してみて、誰しも「たんこぶ」を作ったことはあるでしょう。
    その程度ならば、頭を打ったり、怪我してしまう事は比較的、よくある事と言えます。

    頭を怪我することを医学的な言葉で「頭部外傷」といいますが、年間発生数は約30万という推定されています。
     
    その誰でもおこっておかしくない「頭部外傷」が実は、精神症状をおこす大きな原因になる!ってご存知でしたか?

     
    今回は、もしも頭を何かにひどく、ぶつけてしまったような事があった時、ぜひ、気をつけておきたい精神症状と、その対処法について紹介していきたいと思います。

    頭を打つとどんなことが起こる?

    脳は皮膚と頭蓋骨、髄膜(ずいまく)に囲まれています。
     
    硬膜(こうまく)・くも膜・軟膜(なんまく)をまとめて髄膜といいますが、くも膜と軟膜の間は髄液という液体で満たされています。
     
    脳は髄液に浮かんでいます。
    その髄液が脳を守ってくれているので、頭の部分への衝撃が脳に直接伝わりにくいようになっています。

     
    しかし、かたいものに頭をぶつければ、頭の皮膚が切れて出血することがあります。
    もっとひどければ、皮膚の下の頭蓋骨にもひびが入ったり(骨折)、頭蓋骨がへこんだり(陥没)することだってありえます💦
     
    ただ幸いなことに、頭蓋骨の中に入っている大切な脳に傷がつかなければ、これらは大きな問題にはなりません。
     
    一方で、頭蓋骨が衝撃を受けただけで済んだような、いわゆる「打撲」の場合でも、時には、脳へのダメージが大きくなってしまう可能性があります。

     

    頭を怪我したときのメカニズムです。

     
    プリンが入った容器を思い浮かべて下さい。
    それを強くゆすると、中にはいっているプリンは崩れてしまいますよね。
     
    脳もそのプリンと同じようなことが起こるのです!
    衝撃によって、頭蓋骨の中の脳が強く揺さぶられると、脳の組織や血管が傷ついたり(脳損傷)、脳の活動に障害が出たりする(脳震盪:のうしんとう)などのような大きなトラブルがおこってしまいます💦
     

    脳振盪(のうしんとう)により起こるトラブルは…?

     
    頭部への衝撃により脳に「ゆがみ」が起こります。
    ・意識を失う
    ・頭を打った前後のことを覚えていない(健忘)、
    ・フラフラと体のバランスが悪くなるといった症状が現れることがあります。

     
    これらの症状は、ふつう一時的なもので「脳が停電したようなもの」ですが、めまいや耳鳴り、頭痛などが何日も続くこともあります。
     
    一般に脳振盪はすぐ回復すると思われがちですよね。
    しかし、症状が続くということもまれにあります。

    その様な時は、脳振盪が治っていないと考えるべきです。

    スポーツ選手の場合は‥


     
    脳振盪(のうしんとう)を繰り返していると、軽い衝撃だけでクラクラしたり、頭痛を起こしやすくなったりします。
     
    かつてのアスリートの中で、顔や頭に衝撃をくり返している人たちは大丈夫なのでしょうか⁉
     
    もちろん、大丈夫ではありません💦
    歳をとってから記憶力や判断力が悪くなったり、怒りやすくなるなどの性格の変化や、認知症のような症状を呈したりしやすい、というのです。
     
    スポーツは子供であれば発達・成長するため、大人になってからでは、ストレス発散や体調管理などにとても大切なものです。
    ですが、そのスポーツの中で脳に傷を負えば、のちに後遺症を残したり、最悪の場合は命に関わったりもします。

     
    スポーツの指導などをしている人は、そのことを十分考慮をして指導をおこなってもらえたらと思います。
     
    また、頭部外傷後におこる可能性のある二次的なダメージがあります。
    例えば、脳浮腫や脳出血などによって脳へのダメージがさらに拡大化してしまうことだってあるのです。
     
    頭部外傷後にあらわれる可能性がある色々な精神症状は、こうした脳へのダメージが、大きな原因になっています。

    頭部外傷について詳しくはこちらでも紹介しています。

    【頭部外傷の基礎知識Ⅱ】一次性脳損傷(頭蓋骨骨折・脳挫傷・血腫など)の症状・治療・予後
    2017.10.9
    頭を打って「たんこぶ」ができた!なんて経験はありませんか?   誰だって一度くらいありますよね。   誰もが、そのくらいの経験はしますが、「頭部外傷」っていう言葉になるとあまり身近でない感じが…

    頭を強く打っていなくても安心はできません!


    脳損傷は一般的には、頭に強い衝撃が加わることで起きますが、首から上が揺さぶられるだけで発生することもあります。

    どんなときに脳損傷を起こすのか


    衝撃は、頭の重心だけに力がかかるのではないので、何らかの回転運動を伴います。
     
    この不均一な動きによって脳の内部にひずみがおこって、脳損傷につながるのです。
     
    頭部に直接の衝撃がない場合でも、脳を強く揺さぶられると同様のことがおこります。
     
    実際、頭部打撲のない「むち打ち損傷」の後に頭蓋内出血をしていることがわかった例もあったり、虐待され、頭を激しく揺さぶられた赤ちゃんが頭蓋内出血を生じて死亡した例もニュースになっています。(揺さぶられ症候群)
     

    頭部外傷の多くは、頭に大きな衝撃が加わって起きるものですが、直接頭を打っていなくても脳損傷をおこす可能性はあるのです。

    頭部外傷後の精神症状


     

    ・ありえないほど物事を忘れっぽくなる
     
    ・物覚えが以前にくらべて全く悪くなっている
     
    ・頻繁にめまいがして、以前はなかった頭痛がする
     
    ・ちょっとした事でイライラしたり、すぐに怒る
     
    ・気持ちが落ち込んだり、不安感が強過ぎる
     
    ・身の回りの出来事に全く興味がなくなり、すべてにおいて無関心
     
    ・以前のような熟睡ができなくなっている
     
    ・すぐに疲れる
     
    ・飲酒量が以前よりかなり増えた


     
    このような症状が現れてきますが、行動面については、とにかく怪我をする前には考えられないような軽率な行動をしてきたりと変化が大きくなってきます。
     
    そして、これらの症状の現れる頻度は「頭部外傷の重症度」に関係しています。
    重症の頭部外傷では、ほぼ100%、中程度の頭部外傷では約過半数に見られます。
     
    そして、頭に大きなコブを作っただけで済んだように見えた軽度の場合でも、約1割の方に、上記のような精神症状が出現する可能性があるのです💦

    頭部外傷後の精神症状への対処法


    例えば、落ち込んでしょうがないといった「抑うつ症状」に対しては抗うつ薬。
    眠ることができない、熟睡が困難になっているような場合には、睡眠導入剤。
    もしも、頭部外傷後に「てんかん発作」が起こるようになった場合には抗てんかん薬。
    このように、それぞれ現れた症状に対して、治療薬は選ばれます。

     

    注意が必要となることがあります。

    いわゆる「心の病気」と言われるような症状に対しての治療薬は基本的には脳に作用する物質が含まれています。
     
    そして、頭部外傷では脳に何らかの神経学的な損傷がおこっている可能性もあります。
    その損傷の程度によっては、治療薬の副作用が強まってしまう可能性もあります
     
    このようなことから、頭部外傷後の精神症状に対する薬物療法では、治療薬の投与量に対して「慎重な配慮」が必要となります。
     
    なので、新しく処方されたお薬を飲む場合はしばらくの間、患者さんのご家族は「大丈夫かしら?」と患者さんの様子を伺うようにして、副作用が強まっていないかを(おかしな発言、行動など)確認したほうが良いと思われます。
     

    また頭部外傷では、一部の重症例では職場復帰は難しくなる可能性もありますが、大部分の人は元の家庭や学校生活あるいは職場に復帰する事になりますよね。
     
    その復帰をスムーズなものにするために「心理療法」も必要な治療法になっています。

     

    ま と め


     

    「頭部外傷」はどのように注意しても起きてしまうことがあるものです。
    交通事故に巻き込まれたとか、スポーツ中に頭を怪我したとか‥
     
    気を付けなければいけない所として、自分では「頭を軽くうっただけ」位にしか思えないものでも、上記で紹介したような精神症状が頻度自体は1割以下ではあるものの、現れることがあるということです。

    これらの症状というのは、病院の担当医には分からないことです。
    身近にいるからこそ分かることなのです。

    なので自分の家族が頭を打った時、その後、精神症状は出ていないか、辛そうではないかを見守ってあげる必要があるということを知って下さいね。

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