「人の名前が出てこない!」「今、何をしようとしてたんだっけ?」
    歳を取るとともに、このようなことが増えるようになります。

     
    人間は誰でも、歳をとると体力が落ちていきますよね。
     
    当然のことですが、それと同じように知的能力も、40歳から50歳あたりをピークに徐々に下降線をたどります。
    なので、加齢によるもの忘れや、ついうっかりは、ごく自然なことなのです。
     
    一方で認知症は「脳の機能の病的な障害によって起こる症状」

     

    自然な老化現象とは、はっきりと違うものです。

    物忘れが多いと「認知症になってしまったのでは⁉」と不安になる人も多いようです。
     
    でも、物忘れは正常な脳の老化現象でも起きる場合があり、認知症ではないこともあるのです。
     
    自分や家族の物忘れがどちらなのか判断できるように、「認知症による物忘れ」と「加齢による正常範囲の物忘れ」の違いについて説明していきます。

    物忘れはなぜ起きる?

    脳は1400gほどの重さですが、心臓が動くのも呼吸できるのも脳があるからで、私達が生きていくには絶対に必要なものです。
     
    脳には主役とも言える「神経細胞」があり、電気信号によって情報をやりとりしています。

     
    その数は大脳で数100億個、小脳では1000億個!
     

    神経細胞は呼吸や心臓を動かすだけではなく、経験した事からいろいろなことを学んだり、言葉を話したり、感動したり、今日の出来事を記憶する働きもあります。

    もの忘れの原因1.病気

    「認知症」の他にも原因となる病気があります。

     
    甲状腺機能低下症、うつ病、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫なども「もの忘れ」が見られます。
     

    また注意欠陥多動性障害(ADHD)で注意力の不足から物忘れと感じる人もいますし、睡眠薬や抗生物質などの薬剤が原因の場合もあります。


     
    原因となる病気を治療することで物忘れが改善する可能性があるので、まずはこれらの病気と認知症を見分けることがとても大切です
     
    これらの病気でないことを確認した上で、物忘れが認知症の症状かどうかを診ていくことになります。
     
    もし、前に挙げたような病気でなかったとしてあなたの物忘れは認知症によるものでしょうか? 
     
    分かりやすい例えでいうと、誰かに今朝何食べたか聞かれたとします。
    加齢による正常範囲の物忘れであれば、メニューが浮かんでこなくて考えこんでしまっても、今朝、朝食を食べたことは覚えています。
     
     
    しかし認知症の物忘れでは、メニューではなく食べたと言う出来事(エピソード)自体を忘れてしまうのです

    物忘れの原因2・脳の老化

    物忘れの原因の多くは「加齢」だといわれています。

     

    脳の細胞は年齢を重ねるごとに減少していき、ワーキングメモリが減ってしまうのです。

    「ワーキングメモリ」って何?

    「ワーキングメモリ」とは、情報を一時的に保ちながら、行動や作業を進めるための短期的な記憶のことをいいます。
    作業記憶とも言われています。

     
    じつは、この脳の老化が始まるのは、なんと20代なんです
     
    20代を境に脳細胞は減少していき、それにともなって記憶力も低下していきます。
     
    さらに、仕事から引退して刺激が少なくなる60代になると、記憶力に加えて、判断力や適応力なども鈍くなってしまうせいで、物忘れが起こりやすくなってしまうのです。
     

     
    ワーキングメモリの減少を防ぐには、普段の生活を工夫して、脳の力をキープすることが大切です。

     
    【脳の力をキープする工夫】
    1.料理をする
    料理は手順を考えながら作業するので、ワーキングメモリが使われます。
     
    いかに効率よくおいしく作るかを考えることが、脳の活性化につながります。
     
    2.本や映画などで感動する
    本や映画を見て感動すると、脳内でドーパミンが分泌されます。
     
    このドーパミンが脳を刺激して、ワーキングメモリの維持に役立つといわれています。
     
    3.身体を動かす
    身体を動かすと脳の血流量が増え、脳の活性化につながることがわかっています。
     
    効率よい運動のためには、話しながら走れるくらいのスロージョギングを1時間ほど続けるといいでしょう。
     
    4.サプリメントで栄養を摂る
    脳の活動低下には、必要な栄養素が行き届いていないことが原因であることもわかっています。
     
    脳の栄養となるDHAやEPAをはじめ、血行を血行を良くするイチョウ葉エキスなどの栄養素をサプリメントなどで補うことも重要と言えそうです。

    物忘れの原因3・偏った食生活

    「食の欧米化」が脳の劣化を招きますよ!

     
    「認知症」が増えた原因は何でしょう?
     
    まずは、平均寿命が高くなり、高齢者が増えたことで認知症になりやすい世代が増えたということでしょうね。

     
    医師の中には、昔と比べて欧米化した食生活が要因と指摘する人も多いのです!
     
    欧米化された食生活は、脂質・飽和脂肪酸・コレステロールを摂りすぎてしまうことがあります。
    これらを摂りすぎることによって、「認知症のリスクを高める」、という報告があるのです。

     
    外食をしがちで、ファストフードや牛丼、焼肉などをよく食べる人は、気を配る必要があります!
     
    そもそも、昔の日本人はほとんど肉を食べず、アジ、サバ、サンマなどの青魚を積極的に食べていました。
     
    この食生活であれば、脳の働きをよくするDHAやEPAが適度に摂れて、脳の劣化を防ぐことができたのです。
     
    脂質の取り過ぎはメタボなどの生活習慣病を招くことで知られていますが、脳のためにも、昔ながらのDHAやEPAたっぷりの魚食生活をする方がいいでしょう。

    とはいえ、欧米型の食生活から、突然これらの栄養素をまんべんなく摂るのは難しいものです。

    物忘れの原因4・睡眠不足

    不眠が脳の働きを低下させます。

     

    不眠の人は、そうでない人に比べて物忘れが多いといわれます。
     
    なぜなら、人間は寝ているとき、その日に使った脳や肉体の疲れを回復させるからです。
     
    ですが、質の高い睡眠を取れないと、身体の疲れが回復しないばかりか、脳が記憶の整理や脳細胞の修復などを行えません。
     
    とくに、脳の大切な器官である「海馬」を衰えさせる大きな原因となるのです。

    「海馬」って何?

    海馬とは、脳に存在する、記憶をつかさどる部分のひとつです。
     

    そもそも、人が目や耳からキャッチした情報は、「大脳皮質」に送られます。
    そして、その後に一時的な保管庫の役割をする「海馬」に送られます。
     

     
    この保管庫である「海馬」がおとろえると、短期記憶に障害がおこって、「古い出来事は覚えているけど、新しい出来事が覚えられない」といった物忘れの典型的な症状が現れるのです。

     

    海馬は脳の中でもかなりデリケートな部分です。

    強いストレスや、脳に強い衝撃が加わったりするだけでも、海馬の神経細胞はすぐに死んでしまうといわれています。
     

     
    睡眠不足で脳細胞が修復できない状態が続くと、結果的に海馬がダメージを受けることになり、脳の働きが低下するのです

     
    物忘れ対策には「質の良い睡眠が大切」ということですね。
     
    睡眠不足や不眠は、自律神経が乱れて高血圧を引き起こし、さらには動脈硬化といった深刻な状況になる恐れもあります。
     
    動脈硬化は、脳血管性認知症やアルツハイマー型認知症になる可能性もありますから、できるだけ質の良い睡眠を取るように心がけましょう。

    物忘れの原因5・ストレス

    「ストレス」って恐いですね!

     

    一般的に、ストレスが溜まっているときは、忘れっぽくなりがちだといわれています。
     

     
    ストレスがある状態というのは集中力が落ちやすく、結果的に目の前で起こっていることに対する理解力や記憶力も落ちるので、物忘れが起きやすいのです。
     
    さらに、強いストレスにさらされた状態が続くと、記憶がきちんと作られなくなることもあります。

     
    記憶は脳の海馬で作られ、電気信号で脳内の保管庫にたまります。
     
    しかし、ストレスがあるとそこに別の信号が介入してしまい、記憶がきちんと作られなくなってしまうといわれています。
     
    過度の緊張やプレッシャーがあるときには、「頭が真っ白になって覚えていない」ようになりますし、うつ病の患者さんが「うつがひどかったときのことは覚えていない」という例も多いようです。
     
    高齢の方の場合は、「老人性うつ病」から「認知症」へと進行することもあるようです💦

     

    現代社会では「ストレスは避けようがないもの」と考えられていますが、ストレスに対抗する生活習慣もあります

    まずは、「セロトニン」を増やしましょう!

    「セロトニン」は、精神の安定を促す脳内ホルモンです。
     
    たとえば、朝起きたら、太陽の光をたっぷりと浴びたり、軽いウォーキングをしましょう。
     
    そうすることで、幸せホルモンのセロトニンを増やして、ストレスに強い身体づくりをすることができます。
     
    また、脳の健康を保つためにも、DHAやEPAなどの栄養をサプリメントなどでしっかりと摂り、脳のダメージを少なくすることを心がけましょう

    加齢に伴う物忘れとは?

    人は誰でも加齢と共に脳の機能が衰え、年相応の「自然な物忘れ」がみられるようになります。
     
    加齢による普通の物忘れは、例えば「うっかり時間を忘れてしまう」「印鑑をどこにしまったか忘れて探している」などで、これは認知症の症状ではありません。
    そんなものは、誰にでもおこりますよね!
     
    記憶は三段階からなっています。

     
    ①記銘(きめい)‥情報を学習し覚える
    ②保持‥情報を記憶としてたくわえる
    ③再生‥情報を思い出す
     
    加齢による物忘れでは③の再生の機能が低下することで、覚えていることを思い出すまでに時間がかかるようになるのです。

    なので、「約束したこと」や「印鑑をしまったこと」自体は覚えていて、“自分が忘れていること”には自覚があります
    日常生活に支障はなく、認知症のような病状の進行や記憶以外の障害が見られることもありません。

    「物忘れ」と「認知症」は別ものです!



    記憶力以外の能力は、色々な経験や体験から学ぶことで20代以降も成長し、知能全体では50歳ごろまで伸び続けるといわれています。
     

     
    多くの人は60歳頃になると記憶力に加えて判断力・適応力などにおとろえがみられるようになり、脳の機能の老化が始まります。

     
    記憶力の老化が進行し物忘れが次第に多くなるのもこの時期ですが、この物忘れは加齢に伴う自然なもので、認知症の症状ではありません。

    認知症は脳の病気


    「認知症」は治療をしたほうがいい病気ですが、「加齢による正常範囲の物忘れ」は、正常な脳の老化なので、治療の必要はありません。

     

    認知症の中で大多数を占めるのが‥

     
    ・アルツハイマー型認知症
    ・レビー小体型認知症、
    ・脳血管性認知症、
    ・前頭側頭葉型認知症の4つです

    物忘れが早期の段階から見られることが多いのは、「アルツハイマー型認知症」や「レビー小体型認知症」です。
     
    「アルツハイマー型認知症」や「レビー小体型認知症」は早期に発見して、適切な治療をすることで症状の進行を遅らせることができるとされています。
     
    物忘れが気になるようであれば、早めに物忘れ外来のある認知症専門の医療機関などに受診しましょう。

    認知症の症状としての物忘れとは?

    認知症の症状にによる物忘れは、「そのこと自体」を覚えていられない状態になります。
     
    たとえば、「約束したことを覚えていない」「印鑑をしまったことを忘れる」など。
     
    これは記憶の初期段階である「①記銘が出来なくなる」ことによっておこります💦

     

    「アルツハイマー型認知症」の場合では、少し前の経験そのものを忘れてしまうため、何度も同じことをたずねるといったことがおこります。
    とくに食事や外出などのエピソード記憶が障害されやすいと言われています。
     
    体験自体の記憶がないので、患者さんは「約束なんかそもそもしていない」とか「印鑑がない、盗まれた」と怒る事があります。

    ケアには注意が必要ですね。

     
    一方で楽器や裁縫、家事などのような技術を必要とするものの「手続き記憶」は障害されづらいと言われています。
     
    また、「覚える」機能には支障をきたしますが、再生することは可能なため、昔のことなどを思い出すこともできます

    加齢による物忘れと認知症の違いは?

    これまでもお話ししてきましたように、年齢を重ねると、脳の老化で誰もが物忘れをしやすくなりますが、加齢に伴う物忘れと、認知症は大きく違います。
     
    間違いやすい「加齢による物忘れ」と、「認知症による物忘れ」の違いについて、どう違うのか、どう見分ければいいのかを見ていきましょう!

      

    加齢による物忘れ(正常) 認知症による物忘れ
    体験したこと 体験の一部を忘れる 体験そのものを忘れる
    物忘れの自覚 自覚している 自覚がない
    日常生活 支障がない 支障がある
    判断力 低下しない 低下する
    症状の進行(1,2年の間で) 大きな変化なし 増えている
    間違いを指摘すると 作り話はせずに謝る 変な作り話をする

     
    ※ごく初期の「アルツハイマー型認知症」では物忘れの自覚がある人は沢山いますし、「前頭側頭葉型認知症」では物忘れが目立たずに進行も遅いので上の表のとおりではない例外もたくさんあります。
     

     
    物忘れ(特に最近の出来事を思い出せないなど)を始めとして
     
    ・昔は綺麗好きだったのに最近だらしなくなった
    ・理解力が悪くなった
    ・以前うまくできていたことができなくなった
    など、以前と比べておかしいなと思ったら認知症の症状の可能性がありますので、一度専門の医療機関に受診することをお勧めします!

    認知症を早期発見するために


     
    ☑ もの忘れが酷くなった
     
    ☑ 今切ったばかりの電話の相手を忘れる
     
    ☑ 同じ事を何度も言う、聞いてくる、する
     
    ☑ しまい忘れ・置き忘れが増え、いつも捜し物をしている
     
    ☑ 貴重品や自分の物品が誰かに盗まれたという
     
    ☑ 薬が余るようになってきた
     
    ☑ 判断・理解力が衰える
     
    ☑ 家事や仕事などの失敗が多くなった
     
    ☑ 新しい事を覚えられない、覚えようとしない
     
    ☑ 話のつじつまが合わない
     
    ☑ テレビ番組や会話などを理解できなくなった
     
    ☑ 時間・場所がわからない
     
    ☑ 約束の日時や場所を間違えるようになった
     
    ☑ 慣れた道や自宅近所で道に迷った
     
    ☑ 人柄が変わった
     
    ☑ 些細なことでも怒りっぽくなった
     
    ☑ ペットや家族へ暴力をふるうようになった
     
    ☑ 周りへの気遣いがなくなり頑固になった
     
    ☑ 自分の失敗を人のせいにする
     
    ☑「このごろ様子がおかしい」と周囲から言われた
     
    ☑ 不安感が強い
     
    ☑ ひとりになると怖がったり寂しがったりする
     
    ☑ 外出時、何度も持ち物を確認する
     
    ☑「頭が変になった」と本人が訴える
     
    ☑ 意欲がなくなる
     
    ☑ 下着を替えずに、身だしなみに構わなくなった
     
    ☑ お風呂に入ることを拒否するようになった
     
    ☑ 趣味や好きなことに興味を示さなくなった
     
    ☑ 何をするにも億劫がり嫌がる
     
    ☑ 閉じこもりがちになり、外出することや人と会うことを嫌がる

     
    いかがですか?
    「うちのおじいちゃん、当てはまるものが多いみたい」と思われた人、ちょっと要注意です!
    思い切って受診してみたほうが良いかもです💦
     
    ま と め

    確かに認知症では物忘れが起きてしまいますが、物忘れ=認知症ではありません。
     
    正常な脳でも老化してくると、物忘れが起きることはあります。
     
    私は40歳代ですが、「今、何をしようとしてたんだっけ?」なんてことは、しょっちゅうあります(笑)

     
    主人にしても「脳動脈の手術」をしているので、物忘れなんてよくありますし、「もしかしたら、認知症?」なんてことも思ったりもします。
     
    本当に「ただの物忘れ」と「認知症」の見分けって難しいですし、本人に「あなたは認知症かもしれないから、病院で検査をしましょう」なんて夫婦の間だと、とくに言いづらかったりもします💦

     
    ただ、認知症の物忘れは、物忘れをしている自覚がないことが多く自分では気付きにくいので、家族等の周りの人が認知症かもしれないと気付いてあげなければ、早期発見は難しくなります。
     
    なので、おかしいなと感じたら、検査だけでも受けに病院へ行くべきなのでしょう。

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